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【2024.3.19紙面掲載】新潟大学「次世代健康経営共創講座」 インターンシップリポート

2024.04.19

専門人材の育成に手応え

新潟大学と医療データ分析を手掛けるアイセック(新潟市)などは2月15日、健康経営の実践人材育成を目指すリカレント教育として2023年11月から開いてきた「次世代健康経営共創講座」の集大成として、都内の大手保険会社を舞台にインターンシップのカリキュラムを実施した。

同講座は経済産業省の「高等教育機関における共同講座創造支援事業」に採択されており、内容にも受講生の多くが「自社の取り組みの糸口がみえた」などと評価。

関係者も次回以降の講座実施へ確かな手応えをつかんだようだ。

 

講座概要

医学部教授らが講義、修了証も授与

3カ月にわたる講座は新潟大と、同大発ベンチャー第1号のアイセックが代表を務める「にいがた次世代健康経営コンソーシアム」が開設。健康経営の一層の推進へ、同大の「医科学的根拠に基づき、企業と協働が問われる」(牛木辰男学長)という問題意識と、アイセックの「今後は企業主導から、従業員が自らの健康をマネジメントし、企業はその環境を支援する時代になる。」(木村大地社長)という思いが共鳴して実現した。

対象は主に社会人。同大医学部主導の形で健康経営の体系的知識を持つスペシャリストを育てることを目指す。23年11月からの講座は、同大医学部の曽根博仁教授らを講師として「健康経営の総論と関連制度」「健康経営教育の有効性」「産官学の連携・情報共有」などをテーマとする対面、オンライン各13コマの講義を実施した。

オンライン講義では、がんなど個別の疾病に関する知識も提供。企業でのインターンシップで実践を学ぶカリキュラムもある。全課程を終えた受講者には、医学的知見やデータに基づいて自らの健康や働き方を展望し、行動できる人材として修了証が授与され、自分の勤務先や職場に帰った後に啓発、実務に取り組んでもらおうという仕組みになっている。

フリートークセッション

経産省・橋本氏 「女性の健康課題など今後の論点」

2月15日のインターンシップ内で、参加者によるフリートークセッションも行った。同講座を支援事業に採択した経済産業省から商務・サービスグループ ヘルスケア産業課の橋本泰輔課長、講座の講師である新潟大の浅野健一郎特命教授らが出席。橋本氏は近年の動向を分析してメンタルヘルスや女性特有の健康課題を今後の論点に挙げ「健康経営優良法人の認定取得は通過点に過ぎない。継続的な改善で質を高めてほしい」と、社会動向に合わせたインパクトを生めるような工夫と努力を促した。

受講者の一人は「健康増進プログラムなどを実施しても、頑なに参加しない人にどう対応すればいいか」と質問。これに対し、他の受講者から「各部署に施策のサポーターを置き、説得してもらう」「身近な人に言われると行動変容につながりやすい。家族や友人と参加できるイベントなども有効では」などの方策が提案された。

浅野氏はこれを受ける形で「なぜ動かないのか、その理由を知る必要がある。健康のためでなく、別の目的なら参加するかもしれない」と指摘。「健康経営の利点はその人と長期間、向き合える可能性があること。その時間軸で考えると、できることは色々ある」とアドバイスした。

社内の意思決定や認識共有のあり方でも活発に意見が交わされた。出席者からは「健康経営は管理職の理解が不可欠」「取り組みを進める際、会議で全てを理解してもらうのは困難で、継続的なコミュニケーションが必要」「管理職間の横のつながりも有効」「社内の成功事例を広報・共有することで味方が増えていく」などの声があがった。

新潟大学などは次年度も講座を継続したい考え。今回の成果を踏まえた内容の進化が注目される。

インターンシップ

「本気度」「楽しみながら」で気づき

「次世代健康支援共創講座」の2月15日のインターンシップは3カ月間の講座の締めくくりとして、都内の大手保険会社を訪問する形で実施。他社の取り組みを知り、健康経営の実践力を身に着けようと、多くの受講生が新潟から足を運んだ。

舞台となった保険会社はトップの強いリーターシップが特徴。「健康経営は経営の真ん中にある。これまで以上に資本を投下して日本企業のトップレベルを目指す」という方針で、担当部署を新設し、常に「経営トップ同席」の場で施策を検討している。

この日はまず、同社の担当者らが「保険業界も他業界と同様、激しい人材獲得競争に直面しており、長く働いてもらうために従業員を大切にする姿勢を社外に発信する必要がある」など背景を説明。健康寿命の延伸への貢献と保険事業の持続可能性を考える視点を、健康増進による保険給付費の適正化というビジネス面に生かしていることも紹介した。

具体策では「生活習慣病」「メンタルヘルス」「女性の健康」「シニアの健康(アンチエイジング)」などに照準を合わせ、ウォーキングの習慣化など健康につながる行動を促すため、ゲーム性のある専用アプリを開発。従業員に提供して楽しく健康管理ができる工夫を重ねる一方、契約者の健康づくりをサポートするイベント開催や、他企業の健康経営支援にも注力し、自社だけでなく社会全体の健康促進への貢献も意識していることを強調した。

一連の取り組みの結果、従業員の意識調査では約7割が「生活習慣の改善へ行動が変わった」と回答。女性特有のがん検診の受診率も向上したという成果も強調した。

その後は意見交換を実施。受講者からは「経営層の本気度が成功のカギだと感じた」「社員が楽しみながら続けられる仕組みづくりが重要という気づきを得た」などの声があがり「喫煙に対する注意喚起のために適度な運動をする社内サークルを作るのはどうか」という提案も出た。

講座の講師を務める新潟大の浅野健一郎特命教授は受講者に「単にまねるのではなく、自社ならではの取り組みが必要。他社の実践から自社に必要なことは何か、と考えてほしい」と要請。「色々なアイデアが思い浮かんだと思うが、すぐ成功すると思わず、試行錯誤を重ねてほしい」とも述べ、それぞれが勤務先や職場の課題解決へ息の長い視点で取り組むよう呼び掛けた。

 

現実に生かす学び実感  ─ 受講者の声 ─

 

株式会社ブルボン

人事企画部 人事企画課長 渡邉 貴規 氏

「医学的エビデンスに基づく健康経営を実践できる人材育成」という本講座の目的に共感し、受講を決めました。従業員のパフォーマンスのいかんは、一人一人の心身の健康と大きな関わりがあります。この講座で共に学ぶ皆様方とのご縁に感謝し、EBPM(科学的根拠に基づく健康経営)を推進していきます。そして「健康増進総合支援企業」として、今年創立100周年を迎える当社が、今後も皆様のお役に立てるように活動して参ります。

 

株式会社村尾技建

専務取締役 手塚 裕樹 氏

健康経営の動向や先進企業・異業種の取り組みを学び、自社の取り組みを深化させたく、本講座とインターンシップに参加しました。我が社は新潟県内を商圏とする社員50名の地質調査会社です。仕事柄、現地調査の“安全”意識は高いものの、その前に心身共に“健康”であることが重要だと改めて気づきました。“健康づくり会議”、“組織業績評価に健康指標を組み込む”事例などを参考に、全社員が常に“健康”を意識できる環境・仕組み作りを進めたいと思います。

 

新潟大学

工学部工学科2年 家老 彩季 氏

働く女性の健康問題への解決策を考える中で、健康経営の知識を得たいと感じ参加しました。健康経営での実践的・効果的な取り組み例がある一方、それらが知られていないという実情があると感じました。また企業にとっては健康経営の効果が見えづらく、健康経営を始めづらいという課題も感じました。そのため、健康経営への企業の取り組みを求職者にどうアピールして人材確保につなげることができるかを大学生の視点から考えていきたいです。

 


2024年3月19日付 日本経済新聞朝刊 健康経営広告特集より転載。記事・写真・イラスト等すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。

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