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健康経営®の入門編!ACTION!セミナーレポートin札幌

2023.02.03

北海道では、道庁による「北海道健康増進計画 すこやか北海道21」、協会けんぽ北海道支部による健康事業所宣言「はじめよう『健康経営®』」が行われています。北海道庁と協会けんぽ北海道支部は協同で「健康経営Ⓡ」に取り組む事業所を認定しており、認定企業は、国の顕彰制度である「健康経営優良法人認定」に申請することができます。 今回、健康経営を周知するため「健康経営®の入門編!ACTION!セミナーin札幌」をリアル開催。本記事では、当日セミナーで登壇者が語った内容をお伝えします。

健康経営推進の意義(経済産業省)

 

プログラム第1部は「健康経営推進の意義」と題し、経済産業省が登壇。超高齢化や働き方など現代社会が抱える課題から、政策の目指す姿、「健康経営」の位置づけや目的、現状、現時点での投資的評価や職場における効果、取り組み事例などが語られました。

投影資料はこちら

健康事業所宣言~はじめよう『健康経営®』~(協会けんぽ北海道支部)

プログラム第2部では、全国保険協会北海道支部 企画総務部参事 健康経営アドバイザー 國本要氏(以下、國本)より、北海道の医療費の現状と健康事業宣言の内容について説明が行われました。

國本 日本の医療保険には大企業が運営する「健康保険組合」、公務員が加入する「共済組合」、中小企業が加入する「全国保険協会(協会けんぽ)」、年金生活者や自営業者などが加入する「国民健康保険」があり、原則として全員が加入する「国民皆保険制度」となっています。どの保険者に所属していても、75歳以上になると後期高齢者医療制度に移行します。加入者の保険料で1割、被用者保険の支援金で4割、残り5割は国と地方公共団体の税金等で賄われています。

協会けんぽに加入するのは日本の人口の3分の1であり、約4000万人に上ります。加入者の平均年齢の高さと月収の低さから、協会けんぽの財政は厳しく、保険料率は10%ほどになっています。高齢化に伴って、今後さらに財政は厳しくなる見込みです。国全体の社会保障制度としても先行きは厳しく、2012年には65歳以上の高齢者1人を2.4人で支えていたところが、2050年には高齢者1人を1.2人で支える「肩車型」になると予想されています。パーソル総合研究所と中央大学の研究結果によれば、2030年には労働力人口が644万人不足するとされています。

労働力不足が叫ばれる中、企業に今すぐできることは、「今働いている従業員に健康で長く働いてもらう」ための取り組みです。国民の医療費の1/3は、生活習慣病関連です。生活習慣病は、企業の取り組みによって予防が可能です。

協会けんぽの都道府県支部別の医療費を見てみると、北海道は全国で3番目に高くなっています。また、平均寿命も男女ともに全国平均より低くなっています。女性の健康度が低いことも北海道の特徴です。「はじめよう!健康事業所宣言-協会けんぽ北海道支部」による検診の実施率と特定保健指導の実施率についても北海道は全国平均以下です。

これまで、「健康経営に興味があるが、どうしたらいいか分からない」という質問を中小企業から多くいただきました。そこで協会けんぽ北海道支部は、北海道庁と連携し、健康経営に取り組む事業所を認定する「健康事業所宣言」事業を開始しました。この認定を受けた事業所には、金融機関で融資を受ける際の保証料が割引になるなど、様々な優遇制度があります。

現在、経済産業省が認定する「健康経営優良法人」には、北海道内で430社が認定を受けています。また、協会けんぽ北海道が運営する「健康事業所宣言」の認定も右肩上がりで増加しており、現在2,543社が認定されています。

「健康事業所宣言」にエントリーする方法等、詳細については以下のサイトを参照ください。

はじめよう!健康事業所宣言-協会けんぽ北海道支部

<実践企業事例>健康経営の効果(菅原組)

プログラム第3部では、函館市で建設業を展開する株式会社菅原組の菅原修代表取締役(以下、菅原)から、健康経営に取り組んだ経緯や感じている効果について語られました。

菅原 株式会社菅原組は、1956年(昭和31年)に創業し、北海道内の湾岸、漁港の建設、水産関連施設造成などの海洋土木事業を展開してきました。熟練の作業員による高い技術力と、豊富な工事実績を持つ従業員数70名の企業です。以前は、「従業員の健康は自己責任である」と考えていました。しかしこの数年、心筋梗塞や脳梗塞、がんなどの大きな病気を患う従業員が急増したことに危機感を感じたことから、菅原組は健康経営に取り組むことを決めました。

菅原組では、まず弊社の実態を把握することから始めました。

その結果、5年間で肥満傾向が顕著に増加していることが分かりました。さらに細かく分析したところ、「運動不足」と「飲酒」のリスクが全国平均の2倍以上であることも判明しました。運動不足や肥満は、動脈硬化、高血圧、心臓病などの原因になります。

また、過去3年間で「高ストレス者」が増加していることも分かりました。ストレスが暴飲暴食や喫煙、運動不足につながり、生活習慣病の原因になっていると考えました。

こうした現状を把握し、「健康経営」に取り組むことを宣言し、健康経営実施のための社内体制を構築しました。また、課題を明確にし、目標を設定しました。健康経営を推進するにあたっては、「健康経営優良法人認定要件項目」を確認し、弊社に足りない部分を改善する取り組みを実施しました。社内外で健康経営を推進するため、2021(令和3)年10月に「健康経営優良法人2022(中小企業部門)」に申請しました。その後、今年2022(令和4)年3月に無事認定されました。

具体的に取り組んだ施策を3つ紹介します。

1つは健康イベントの実施です。函館市が運営する健康アプリ「Hakobit」が主催する「わが社がNo.1!ウォーキングバトル」というイベントに全従業員で参加し、歩数の合計ランキングが全270チーム中1位になりました。

2つ目の施策は「健康休暇の付与」です。コロナワクチン接種後などに、有給休暇とは別に5日間の休暇を取れるため、従業員から好評です。

3つ目の施策は「医療費の補助」です。病気やけがでの入院時に1日1万円を給付するなど、仕事ができなくなったときに費用の心配をしなくてもいいようにしています。また、健康診断のオプション費用を1万円まで会社が補助しています。実際に、オプション検診の実施が腎臓がんや甲状腺異常の早期発見につながった事例もあります。

その他、健康社食の導入や、生命保険会社の健康アンケートの活用、社内健康セミナーの実施にも取り組んでいます。

当初は、健康に興味を持つ人が少なく苦労しました。しかし、とにかく情報収集と発信を繰り返し行うことで、従業員の意識を変えていきました。今では、健康経営に取り組んだことに関して、従業員からも喜びや感謝の声が寄せられています。

今後、健康経営優良法人の中でも特に優れた発信を行っている企業上位500社に与えられる「ブライト500」の認定も目指します。健康経営を始めるのは、1日でも早い方が良いです。ぜひ、健康経営に取り組みましょう。

働く世代のヘルスケアサービスについて~道の調査結果から~(北海道二十一世紀研究所)

プログラム第4部では、株式会社北海道二十一世紀研究所の調査研究部次長 河原岳郎氏(以下、河原)が登壇し、北海道庁から委託されているヘルスケアサービス創出事業について説明しました。

河原 株式会社北海道二十一世紀研究所は、北海道をフィールドに、様々な地域課題解決に貢献する総合シンクタンクです。2015(平成27)年より、ヘルスケアビジネスを行いたい企業をサポートする活動を始め、2019(平成31)年度からは北海道庁からの委託を受け、健康経営に関するヘルスケアサービス創出事業を行っています。働く世代の健康づくりに役立つヘルスケアサービスの創出をミッションとしています。

健康経営に関心が高い、または規模の大きい道内企業2,000社にアンケートを行い、取り組みの状況について調査しました。

健診事業やメンタルヘルス対策など基本的な施策に取り組んでいるところが多いのはもちろんですが、睡眠の質の向上や、肩こり・腰痛の改善について「今後取り組みたい」と答える企業が増えてきています。一方で、「企業側で費用負担をしてでも取り組みたい」という企業は少ないのが実態です。健康に関する民間サービスを利用しない理由については、「予算を確保できない」という理由の他に、「どんなサービスがあるのか分からない」というものもありました。そこで、健康問題を解決したい企業とサービス事業者とのマッチングにも取り組みました。

工場内の業務で重い荷物を持つことが原因で腰痛持ちが多かった企業では、スポーツクラブの費用補助を出して利用を促していましたが、なかなか利用促進につながりませんでした。そこで弊社は、「背骨と骨盤コンディショニング」を行う理学療法士を紹介し、様々なアドバイスを行ってもらっています。

また、ある建設会社では、メタボリックシンドロームの従業員が非常に多いことが課題でした。そこで、パーソナルトレーニングジムを道内に展開する業者に、「健康経営に特化した企業サービスを行いませんか?」と提案し、マッチングがうまくいきました。

健康経営を推進する企業は増えてきていますが、施策だけを用意して、実際の利用につながっていないことも多くあります。そこで弊社は、動機づけの部分についても併せて行う必要があると考えました。

次に、過去3年間で行った、動機づけについての取り組み事例を紹介します。

従業員にウェアラブルウォッチを装着してもらい、収集したデータを医療専門職が円滑に閲覧できる仕組みを作りました。また、オンラインやアプリを通じて行動変容に向けたアドバイスを行いました。女性ならではの健康の悩みを改善するため、「更年期」「睡眠の質」等のコースを自分で選べるようにし、主体的に取り組める仕組みにしました。

また、座りっぱなしによる健康課題を解決するため「オフィスで”ちょこまか”促進プログラム」というサービスモデルを道内企業で実証しました。

その他、健診では分からない「コンディション」に着目した「働く世代のコンディショニング・プログラム」も道内企業で実証しました。肩こり・腰痛改善や腸活・温活などを行い、限られた労働時間で仕事のパフォーマンスを維持・向上する取り組みを行いました。

2022年度も、コンディションの改善を目的に、健康行動の動機づけを行うサービスの実証を予定しています。健康経営のためのヘルスケアサービスについてご相談がある方は、ぜひ以下にお問い合わせください。

株式会社北海道二十一世紀研究所 調査研究部

メールアドレス:health@htri.co.jp

健康経営を企業経営にどう活かすか(健康経営優良法人認定事務局)

セミナーの最後に、健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)から、健康経営優良法人制度についての総括と、公式ポータルサイトの紹介を行われました。また、企業が健康経営により得られる価値や、健康経営を企業の「広報活動」へ活用する手法が語られました。

健康経営を広報活動に活かすことにより、採用難や離職対策などの企業課題の解決などにつながります。また、健康経営に取り組むプロセスを通じて社内従業員同士のつながりや、大学・地域・官公庁などとのつながり、自社のファンを生み出せる可能性などもあります。健康経営の価値は、認定そのものにあるのではなく、それまでのプロセスや活用にあります。「健康経営」は、単に従業員の健康を増進するための制度ではなく、企業の取り組み方によっては、さらに大きな可能性を秘めています。

今回は、これから健康経営を目指す企業にとって希望を感じられるセミナーとなりました。

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