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健康経営®の入門編!ACTION!セミナーレポートin岐阜

2023.02.04

岐阜県では、岐阜県庁・岐阜労働局・協会けんぽ岐阜が連携し、健康宣言事業が行われています。企業にとって相談しやすく、健康経営の第一歩が踏み出しやすい仕組みになっており、年々取り組まれる改善にも注目が集まっています。今回開催した「健康経営®の入門編!ACTION!セミナーin岐阜」では、岐阜県だけでなく隣県からも健康経営に関心を持つ多くの企業の参加がありました。本記事では、当日セミナーで登壇者が語った内容をお伝えします。なお、セミナーでは、初めて健康経営を学ぶ方にも分かりやすいよう、具体的な事例を交え、これからの企業経営や人事戦略に役立つ情報も提供されました。

健康経営推進の意義(経済産業省)

プログラム第1部は「健康経営推進の意義」と題し、経済産業省が登壇。超高齢化や働き方など現代社会が抱える課題から、政策の目指す姿、「健康経営」の位置づけや目的、現状、現時点での投資的評価や職場における効果、取り組み事例などが語られました。

投影資料はこちら

健康宣言をしよう(社会保険労務士 谷口氏)

社会保険労務士の谷口敏弘氏(以下、谷口)より、健康宣言のメリットと、岐阜県の健康経営推進事業についての説明が行われました。

谷口 企業が健康経営を行うことにより、企業のイメージアップ、生産性向上、リスクマネジメント、リクルート効果などいろいろなメリットがあります。岐阜県内企業の健康経営を推進するため、岐阜県は2種類の健康宣言制度と、健康経営事業所認定制度を実施しています。

健康経営の第一歩としては、まず、岐阜労働局が運営する「新はつらつ職場づくり宣言」と、岐阜県が運営する「清流の国ぎふ健康経営宣言」を実施することをおすすめします。

協会けんぽ岐阜支部による「ぎふ健康経営認定事業所」の認定審査内容は、それらの2つの宣言と重複する部分が多いからです。

「ぎふ健康経営認定事業所」の認定を受けたけんぽ加入者は、最終的に、経済産業省による「健康経営優良法人」の認定を目指すことができます。

「新はつらつ職場づくり宣言」は、労働法令に関する支援がメインです。9つの項目のうち5つ以上の宣言を行う必要があります。内容としては、長時間労働の抑制など、間接的に健康経営につながるものが多くあります。

「新はつらつ職場づくり宣言」に登録すると、ハローワークの求人票の特記事項欄で、取得企業であることをアピールできます。

一方「清流の国ぎふ健康経営宣言」では、健康経営の実践に関する支援がメインです。こちらは「登録申請書兼宣言書」を県に提出するだけで登録できます。

その後、協会けんぽ岐阜支部に申請書を提出し、審査に通れば、「ぎふ健康経営認定事業所」に認定され、以下の様々な特典が得られます。

岐阜県は、労働局が健康づくり宣言事業の一部を行っているという特殊な県です。ご紹介したサービスをうまく利用し、会社独自の健康経営を作り上げてください。

岐阜県の取り組み(岐阜県庁)

次に、岐阜県健康福祉部の山本敦弘氏(以下、山本)より、岐阜県民の健康に関するデータと、岐阜県の健康経営への取り組みについてご説明しました。

山本 岐阜県は、県民の皆様の健康寿命を伸ばすことを目的として、「第3次ヘルスプランぎふ21」という健康増進計画を元に様々な取り組みを行っています。

健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことをいいます。岐阜県民の健康寿命は、男性が73.08年(全国13位)、女性が76.18年(全国11位)です。健康寿命を長くするためには、生活習慣病の発症予防と重症化予防を推進する必要があります。

ここで、岐阜県民の健康に関するデータを紹介します。

医療保険者が40歳以上の加入者を対象に実施することが義務付けられている特定健診の実施率は54.9%であり、目標である70%に届いていないのが実情です。特定保健指導の実施率も目標値には届いていません。

また、特定健診結果を分析した結果、40~44歳の男性のうち28%がメタボリックシンドロームに該当、または予備軍であることが分かりました。肥満も多く、50~54歳とまだ若い年齢層でも約50%が肥満に該当しています。

将来の医療費を見据えて、働き盛り世代からの健康づくりが重要です。そこで岐阜県では企業の健康経営を推進するため、以下のような制度を実施しています。

岐阜県の「清流の国ぎふ健康経営宣言」に申請すると、岐阜県知事印を押印した登録証をお送りします。平成30年以降、毎年100社ほどの企業が宣言を行っており、現在590社に達しています。

認定後は毎年、取り組み状況についての報告書を提出していただきます。自社の取り組みを振り返ることで、実施できている部分やまだ進んでない部分を可視化できます。

健康経営宣言企業には、毎年健康経営に関する研修会を実施しています。また、働き盛り世代のための運動実践講座や、食育栄養講座を開催しています。その他にも資金融資制度などのインセンティブを設けています。ぜひ以上のような制度を活用し、健康経営に取り組んでみてください。

<実践企業事例>地域に活きる健康経営(セクテック)

続いて、岐阜県内の企業事例として、岐阜県多治見市の株式会社セクテック 鈴木美佳子氏(以下、鈴木)にご登壇いただきました。健康経営を始めたきっかけ、認定取得までの実際の取り組み、取得によるメリットについてお話しいただきました。

鈴木 1997年設立の多治見市に本社を置く警備会社です。

事業内容はセキュリティシステムの販売、施工、保守、コール代行サービス。また、AEDや高度利用者向けの緊急地震速報システムなどを取扱い、地域の皆様の安心安全を365日24時間体制でお守りしています。

弊社の従業員数は40名で、そのうち85%が生活習慣病予防健診対象者(35~74歳)です。また、従業員の1/4は夜間勤務者で、生活が不規則になりがちです。

以前の弊社では、夜間勤務者の健診結果が思わしくないことや、離職者の増加、警備員の採用難などの問題を抱えておりました。そこで弊社は、従業員が仕事にやりがいを持ち、いきいきと働ける環境づくりのために、健康経営に取り組むことにしました。

当初、何から始めればいいのか全く分からなかったため、経済産業省が策定している「健康経営優良法人認定要件」に沿って進めました。

まず、健康経営宣言を行い、組織体制を構築しました。健康経営に取り組む上では、担当者の業務負担や、福利厚生の拡充にかかる経費負担など、健康投資が必要です。従業員が抵抗なく取り組めるよう、社内に向けた情報発信に注力することをおすすめします。

次に健康課題の把握を行いました。従業員の健康課題を把握するための柱は、やはり「健康診断」です。弊社では、健診を一般健診から生活習慣予防健診に切り替え、さらにオプションの健診を追加して健診項目を充実させました。

そうしたところ、弊社の従業員の50%が、高血圧・高脂血症・糖尿病予備軍であるという結果が明らかになりました。

メンタルヘルスについては月に一度、ストレス測定機器(スマートパルス)を利用したストレスチェックを行いました。また、年に一度専門機関によるストレスチェックの集団分析、外部講師によるハラスメント研修等を実施しました。

健康課題の把握と並行して、健康経営の実践に向けた土台づくりを行いました。大腸がんや乳がんの健康講座や喫煙対策講座などの教育機会を設けることで、従業員の健康意識を向上させました。また、ノー残業デーを設定して定時退社を推奨するというワークライフバランスの取り組みも行いました。その他、社内環境の整備も行いました。

当社の課題を改善につなげるため、保健指導と健康増進にも取り組みました。医師による分析結果を元に、再検査を要する従業員に受診勧奨を行い、再検査の結果を担当者に報告してもらうという手順を繰り返し実行しました。そうすることで、ある従業員の大腸がんを早期発見でき、わずか2週間で元気に職場復帰を果たしたという嬉しい事例もあります。

また喫煙者に対しては、電子たばこの講習を開催し、紙たばこからの切り替えを促しました。現在では全員が電子たばこへの切り替えに成功し、他の社員の受動喫煙も軽減できました。さらに弊社は、福利厚生を拡充しました。食生活を改善する為、普段不足しがちな野菜やフルーツ、健康的な総菜を「置き型社食」として社内の冷蔵庫に用意し、従業員へ半額で提供しました。また、腸内環境を整え免疫機能を高めるため、手作りヨーグルトを無料で提供しました。このような取り組みによりコンビニやカップ麺等野菜不足になりがちな夜間従事者の食生活改善に繋がりました。

以上のような取り組みを行った結果、経済産業省が認定する「健康経営優良法人」の中小規模法人部門のうち、上位500社に与えられる「ブライト500」を取得できました。従業員の活力向上や生産性の向上により組織が活性化し、結果的に業績向上にもつながりました。

従業員の健康は本人やそのご家族にとって、また、企業にとっても重要な財産です。弊社は、今後もこのような取り組みを継続してPDCAサイクルを好循環させ、また、認定企業同士で意見交換を行いながら、社内の問題点を改善していきます。健康に関する様々な活動を通して、地元の皆様の健康づくりに資することで社会貢献できると考えております。

セクテックHPはこちら

健康経営を企業経営にどう活かすか(健康経営優良法人認定事務局)

セミナーの最後に、健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)の芹沢氏より、認定制度の概要や企業が健康経営により得られる価値ついて説明がありました。その中で、健康経営に取り組むメリットの1つに「企業同士のネットワーク」があることを提言。また、健康経営の認定はゴールではなくスタートであり、「認定をどう活用するか」が重要であること、一例として企業広報への活用により、課題解決のきっかけにななったり、就職希望者が増えたり、従業員のモチベーションアップにつながる等、様々な波及効果があることが語られました。

今回のセミナーは、これから健康経営に取り組む岐阜県の企業にとって、多くの気づきを得る機会となりました。

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