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ACTION!健康経営

2025.08.28

2025/6/25 ⼥性の健康投資フォーラム ~投資対効果で⾒るウェルネスの価値~(経済産業省)

6/25(水)に開催された「⼥性の健康投資フォーラム ~投資対効果で⾒るウェルネスの価値~」(主催:経済産業省、Cartier International SNC)のアーカイブです。

 

女性の健康 どう支えるか

近年、女性特有の健康課題解決に向けた取り組みが、健康経営における大きなトピックとなっている。2025年6月25日、大阪・関西万博のヘルスケアテーマウィークで開催された「女性の健康投資フォーラム」には、国内外で女性の健康課題解決に取り組む識者が集結。なぜ今、企業は女性の健康に向き合うべきか。最新の調査報告や事例などを踏まえて対話を深めた。

多様な人材が活躍できる雇用環境を

現在の日本の健康経営では、月経不順など、女性特有の健康課題への対応に遅れがみられる。これによる経済損失は年間約3.4兆円にも上ると推計される。経済産業省は、この現状が多くの企業に認識されて対策が進むよう、調査や情報発信に注力。また現在、女性特有の健康問題への対策の効果を可視化する「女性の健康施策の効果検証プロジェクト」なども進めている。
性別に関わらず多様な人材が活躍できる雇用環境の整備は、長期的な企業価値向上に資するイノベーションの源泉ともなり得る。企業にとって、経営戦略上も多くの意義がある取り組みだ。

橋本 泰輔氏

経済産業省 商務・サービスグループ

ヘルスケア産業課長

 

男女健康格差是正で1兆ドルの経済効果

昨年、世界経済フォーラムで発表されたレポートによれば、男女の健康格差を損失生存年数(ある集団の中で、理想的な平均余命から早期死亡によって失われる年数の合計)で表すと、全世界の女性が何らかの健康上の問題を抱えて過ごす年数は、男性より7,500万年多い。女性一人あたり年間7日間は何らかの健康リスクを抱えている計算だ。20~64歳と、本来生産性が高くあるべき世代で特に男女の健康格差が大きくなる。
これは大きなリスクであると同時に、またとないチャンスでもある。今ある男女の健康格差が解消されれば、2040年までに少なくとも1兆ドルの経済効果が生まれ、GDPは年間2.6%向上するとも見込まれる。
現状の男女の健康格差は、医療・生物学研究において、男性の身体が主な研究対象とされ、女性特有あるいは女性に多い疾患の研究データが少ないことなどに起因する。フェムテックなど、こうした現状を克服する新ビジネスには大きな成長ポテンシャルが期待される。
しかしながら、男女の健康格差にまつわるリスクとチャンスをしっかり認識し、しかるべき投資や対策を行っている企業はまだ少ない。他社に先んじていち早く取り組む企業は、相対的優位性を勝ち取れるだろう。

村上 由美子氏

MPower Partners ゼネラル・パートナー

 

更年期対策には包摂的な支援を

2021年10月、英国議会は更年期対策本部を新たに設置。更年期症状に苦しむ女性への経済的な支援策や、職場における対策が求められるようになった。現在議会で審議中の法案では、250人以上の従業員を雇う企業に更年期対策行動計画の策定が義務付けられている。
私は23年、英国政府の初代更年期チャンピオンに任命された。更年期を迎えた女性の雇用環境整備のための政策提言や、企業における戦略策定、更年期に関する情報発信や啓発活動などに取り組んでいる。
更年期には、閉経前後の女性ホルモンの急激な減少に伴って様々な身体的、精神的不調が起こる。人種や民族、文化、社会・経済的ポジションや障がいの有無に関わらず全ての女性が体験する、非常に多面的な体験だ。だからこそ、症状や治療法、経済的な支援などに関する情報に、誰もが簡単にアクセスできるようにしなければならない。
包摂性への配慮は、あらゆる支援策において重要となる。女性が人生のある時期になると必ず体験する更年期は、家族やパートナーにも多大な影響をもたらす。そのためこれは女性だけの問題ではない。
職場における更年期教育も大切だ。更年期に関する自分の体験を率直に話すことや、男性従業員も含めて更年期について対話できるカフェの開催なども、更年期になっても働きやすい職場カルチャーの形成に役立つ。また職場の更年期対策には、リーダーの積極的な関与も欠かせない。

Helen Tomlinson氏

Head of Inclusion & Employability, Adecco

 

男性や経営層含めた理解促進を

上場 従業員の約6割を女性が占める三菱UFJ銀行は、女性従業員のキャリア形成と出産・子育てなどのライフタイムイベントとの両立を支援する施策を幅広く実施。今年4月からは卵子凍結や不妊治療の費用補助を開始した。将来の妊娠を考えながら、女性やカップルが自らの生活や健康について考えるプレコンセプションケアに関する社内セミナーも実施するなど、従業員の働き方や生き方の選択肢を広げる施策を拡充している。

新佐 過去に長時間労働を理由に離職者が相次いだことから、業務効率改善などによる働きやすい職場づくりを継続的に推進。健康経営にも力を注いでおり、2020年からは女性特有の健康課題解決にも取り組む。女性社員の健康課題や、それにまつわる要望を把握する機会を多く設けているほか、乳がんなどについては検診とセットで研修を実施。研修は男性社員も受講でき、女性の健康に関する理解促進に役立っている。

岡原 当グループには育児休暇や生理休暇など、女性を含めて多様な従業員が利用できる制度が多くあるが、中には制度を利用しにくい、迷うという声もあった。そこで、こうした制度を使いやすいカルチャーの創出に向け、自身の病気の治療や家族の看病や介護と仕事を両立するための相談場面をシミュレーションして上司と部下が対話するプログラムを実施。互いを尊重し、理解し合いながらコミュニケーションを深めるスキルが身につくなど、ビジネスにも生きる副次的効果を得られている。

Tomlinson 職場復帰への支援は更年期でも必要だ。シニアリーダーとしてリーダーシップを発揮すべき人材が職場を離れることは、本人のキャリアを途絶えさせるのみならず、企業の大きな損失ともなる。経営層は女性の健康課題が自社にもたらすリスクとチャンスの両方を理解すべきだ。

村上 女性特有の健康課題へのアプローチのほか、投資家としては男女の賃金格差にも注目する。日本は多くの場合、男女の勤続年数の差が管理職比率の差となり、その結果賃金格差が生じる。子育てと両立しやすい雇用環境整備などを行って、この点にしっかりとアプローチできているか否かは、企業の経営の質を見極める材料の1つとなる。

左から

岡原 伸太郎氏

ジョンソン・エンド・ジョンソン 日本法人グループ 統括産業医・産業医科大学 特命講師

村上 由美子氏

Helen Tomlinson氏

上場 庸江氏

株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ 人事部部長 兼 ダイバーシティ推進室長

新佐 絵吏氏

株式会社浅野製版所 事業開発部長

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