当社のウェブサイトは、利便性及び品質の維持・向上を目的に、Cookieを使用しております。
詳しくは、「アクセスデータの取得と利用」をご覧ください。
Cookieの使用に同意いただける場合は、「同意する」ボタンを押して下さい。
同意いただけない場合は、ブラウザを閉じて閲覧を中止してください。

アクセスデータの取得と利用 同意する

ACTION!健康経営

2026.03.25

日本経済新聞 2026/3/11掲載 「投資家向けに効果の可視化を」

レオス・キャピタルワークス 八尾尚志氏、経済産業省ヘルスケア産業課課長補佐 河裾淳子氏、慶応義塾大学商学部教授 山本勲氏に、健康経営の今投資効果分析についてどのような研究・情報発信を実施すべきか、3者で語り合っていただきました。

投資家向けに効果の可視化を

健康経営®のさらなる推進には、実践企業を投資家が適切に評価できる仕組みづくりが欠かせません。しかし、健康経営が株価にどう影響するか示した研究は少ないのが実情です。中長期的な株価への影響など、取り組みの効果を検証・可視化する「投資効果分析」が求められています。どのような研究・情報発信を実施すべきか。事業に携わる研究者、投資家と経済産業省の3者で語り合いました。


株価への影響、中長期で分析

河裾 2025年度の健康経営優良法人(大規模法人部門)は、3765件が認定されました。40年に1100万人の労働力が不足するとされる中、健康経営の一層の推進により従業員が長く健康で働けるようにすることが重要です。そのためにも、投資家をはじめとしたステークホルダー(利害関係者)にきちんと評価される仕組みを整備することが欠かせません。健康経営の投資効果分析をすることで、健康経営の実践を後押しするだけでなく、投資家の投資判断に資すると考えています。

山本 私は経済学の立場から健康経営の効果を検証してきました。これまでは主に経営層に向けて「従業員の健康に配慮すると企業業績が好転する」という科学的根拠を示そうとする研究が中心でした。そうした取り組みの結果、健康経営が従業員の健康状態やウェルビーイングを改善し、生産性や利益率の向上につながることが明らかになってきました。

一方、株価や時価総額への影響についての研究は限られており、健康経営銘柄に選ばれる前後で株価がどう変化するかなど短期的な分析にとどまっています。健康経営により企業業績が改善し、それを投資家が評価して企業価値が高まるということを中長期的に検証した研究は不足しているのが現状です。

八尾 投資家の間で健康経営の認知度は徐々に高まりつつあります。健康経営が従業員のエンゲージメントを高め、企業価値向上につながることは、人的資本の文脈で理解できると思います。しかし、健康経営銘柄に選ばれると株価が上がるといった短期的なインパクトについての研究は、投資判断には利用できません。再現性があり、中長期的に株価が伸びることを示すような研究こそ、投資家にとって有用なものでしょう。

下落しにくい強靱性に強み

河裾 健康経営に取り組んでいる企業の皆さんから、「投資家に向けて自社の目指す姿や健康経営の役割についてストーリーで示している」という説明はよく聞きます。しかし、投資家は複数企業のストーリーを容易に同時比較できません。これから取り組む投資効果分析は、投資家が比較しやすい情報開示につながるものと考えます。

山本 最初は健康経営銘柄を分析するのが分かりやすいでしょう。中長期的に株価がマーケット平均より上がる、あるいは何らかのショックで市況が落ち込んでも下がり幅が小さいなど、成長が期待できると同時にリスクにも強いことを示せればと考えています。それが健康経営実践の結果であるという因果関係も明らかにしたいです。

八尾 企業業績は人間の健康状態と同じように良くなったり、悪くなったりします。その中で投資家が重視するのは企業の強靱(きょうじん)性であり、成長の再現性です。健康経営銘柄は人的資本を有効活用しているという前提に立てば、相場の激変期に株価が下がりにくい下方硬直性があることはイメージできます。こうした下がりにくさは、投資家が企業を評価する際の重要な視点の一つです。勝ち続けるより大きく負けないことを重視する投資家は、下がり幅の小さい銘柄を安定的な投資先としてポートフォリオに組み込むでしょう。

山本 実は、CSR(企業の社会的責任)スコアが高い企業はリーマン・ショック時に株価が下がりにくかったという論文があります。また、米国で「働きがいのある企業100社」に選ばれた企業は強靱性が強く、マーケット全体が下落している局面でもあまり影響を受けないという研究もありました。こうした企業は無形資産がしっかりしている点で健康経営実践企業と似ていると思います。

投資家と企業の共通言語に

八尾 健康経営の取り組みが投資家に伝わっているか、評価されているか、手応えがないという悩みもよく聞きます。その意味で、今取り組んでいる投資効果分析により株価に影響が出ていることを示せれば、企業の実践現場の励みにもなるのではないでしょうか。

山本 そうですね。研究者は自らの関心に基づいて分析を進めがちですが、今回は機関投資家である八尾さんと議論しながら、出口を見据えて「投資家に届く内容」を示すことに意義があると考えています。企業と投資家のコミュニケーションに役立つような見せ方も工夫する必要があるでしょう。単なる学術研究を超えたプロジェクトだと思います。

八尾 投資家と企業をつなぐ共通言語、羅針盤の役目を果たせるようなものができるとうれしいです。企業側には「健康経営銘柄に選定されると株価が上がる」という期待があるかもしれませんが、今回の分析結果が「下がりにくい」というものであっても落胆する必要はありません。むしろその安定性こそ機関投資家を引き付ける魅力になるからです。ポートフォリオを安定させるアンカーになり得るという強みは、投資家側からも企業の皆さんに伝えることが大切だと考えています。

河裾 26年度、投資家向けに健康経営の価値を伝えるために、投資効果分析の結果が明らかになることを期待しています。自社の健康経営の取り組みを投資家に伝える際の材料として活用してもらいたいです。

 

健康経営優良法人2026 大規模法人部門に選定された企業はこちらです。

 


2026年3月11日付 日本経済新聞朝刊 健康経営広告特集より転載。

記事・写真・イラスト等すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。

「健康経営®」は、特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。

企画・制作=日本経済新聞社 Nブランドスタジオ

公式SNSのご紹介
健康経営優良法人の申請に関する情報をはじめ、事務局主催のイベント情報等、 皆様のお取り組みに役立てていただける情報を広く発信してまいります。 是非アクセス・フォローをお願い申し上げます。
アカウント名:健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社) ユーザー名:@act_kenkokeiei
X(旧Twitter)公式アカウント