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2024.07.09

【2024.7.9紙面掲載】社内を巻き込む トップダウンを

健康経営に関する意識調査では、健康経営優良法人の認定法人と非認定法人を比較して、売上高をはじめとする企業活動の根本に影響する項目で有意な差があることが分かった。帝国データバンクの上西伴浩氏は、健康経営のスキームが人的経営課題の解決に効果的だとの見方を示しつつ、単なる上意下達ではない、従業員や社内を巻き込むトップダウンによる進め方の必要性を説いた。

 

帝国データバンク 営業企画部 部長 上西 伴浩 氏

<略歴>1968年、宮崎県生まれ。93年帝国データバンク名古屋支店配属、静岡、札幌、大宮にて支店長を歴任、東京支社営業部長、情報統括部長を経て、2023年4月より現職。


経営改善に好影響

この調査では健康経営と成長・雇用の相関を分析している。その中で「売上高年平均増加率」を見ると、健康経営優良法人の認定法人は3・55%、非認定法人は2・38%となった。この差から、認定の有無が売上高の増加に影響していると読み取れる。同様に「従業員数年平均増加率」も認定法人1・15%、非認定法人0・74%となっており、認定法人は従業員数が増加傾向にあった。企業が1年以内に倒産する確率を数値化した「倒産予測値」を見ても、認定法人0・12%に対し非認定法人0・26%と差が見られる。こうした結果を上西氏は次のように分析する[図1]。

「健康経営は従業員への健康投資を行うことで働きやすい環境を整備し、従業員の活力向上や生産性の向上など、組織を活性化させるスキームです。また、エンゲージメントが高まることで、自律的に行動する従業員が増えることにつながります。それが組織の強靭化や経営の改善につながり、結果として売上高や従業員数の増加、倒産確率の低下などに表れていると考えることもできます」

健康経営優良法人の認定取得は企業経営に好影響があるといえそうだが、上西氏は認定取得だけを目的とすべきではないと注意を促す。

「一番の目的は従業員の健康を良くすること、つまり人を基軸に考えることを忘れてはいけません。認定取得を目指して一方的に取り組みを指示しても、表面的な課題解決に終始し、経営改善効果は見込めないでしょう」

企業向けアンケート調査によれば、認定取得に取り組んだ目的に「企業イメージ・企業ブランド価値の向上」を挙げる企業がもっとも多いが、目的と効果が一致している比率で見ると、「労働時間の適正化、有給休暇取得率の向上」「従業員間のコミュニケーション改善」の方が高い[図2]。

 

指示より動機づけ

実際に健康経営優良法人の認定取得が経営健全化に結実した実例を聞いた。

「ある製造業の会社で、持続的な発展のために従業員のやる気が出る動機はなんなのか模索されていた3代目経営者が、健康経営に興味を持たれたことをきっかけにトップダウンで取り組み始めました。当初、社内のムードは否定的で、いい反応があったのは取引金融機関だけだったそうですが、それに励まされて辛抱強く取り組むうちに否定的だった従業員たちも積極的に取り組むようになり、徐々に社内の空気が変わり始め、離職者が減り、それまで困難だった地元での採用活動も進展し、結果的に業績も向上したということです」

この会社では取り組み始めてから優良法人に認定されるまで1年ほどを要したということだが、ここで大事なのは、経営トップが主導しても組織に浸透させるにはある程度の時間がかかるということ、さらにトップダウンという言葉の意味を履き違えないようにすることだと上西氏は指摘する。

「トップダウンは日本語では上意下達とされがちですが、本来的にはトップが従業員の立場に下って課題を共有することを指します。健康経営のように全社的な行動変容を求める場合にトップが果たすべきは、従業員をその気にさせる旗振り役といえます。これは担当者として認定取得を推進する立場の従業員も同様と考えるべきです」

専門家の支援で推進

理論は分かっても実際に健康経営を推進するに当たり手探りの企業も多いのではないだろうか。そこで昨今注目されているのが、健康経営コンサルティングだ。どのような事業者に協力を求めればいいのか、見極めるポイントを聞いた。

「健康経営のスキームを人を基軸にした経営健全化の道筋と考えれば、事業戦略や組織の仕組みの見直し、社則の改訂などを要することもあります。その時に、会社の経営課題を正しく把握し、事業活動全体の中に健康経営を位置付けて支援してくれる事業者なら信頼できるでしょう」

認定取得を指標とし、フレームワークや理論を提示したり、資料作成を支援するのはコンサルティング事業者なら当然だが、それを現場レベル、つまり従業員一人ひとりに腹落ちさせ、実践に落とし込むプロセスは、各社で状況が異なり一朝一夕にはいかない部分でもある。そこに踏み込んで伴走型で支援してくれる事業者を見極めることが重要だといえそうだ。


出典/健康経営優良法人認定事務局委託調査「企業アンケート 健康経営に関する企業の取り組み状況や効果に関する調査分析」。図1:帝国データバンク企業財務データベース「COSMOS1」に収録企業を健康経営優良法人(ホワイト500、ブライト500を含む)の認定有無で比較したデータ(2021年~2022年)。図2:帝国データバンク企業概要データベース「COSMOS2」より、「健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)」において初めて認定を受けた企業の中から、株式会社、有限会社3180社を抽出(医療業を除く)、有効回答企業数:1215社。調査期間:2023年10~11月。※上記のデータは、健康経営優良法人認定事務局運営ポータルサイト「ACTION!健康経営」調査・データページで掲載しています。

2024年7月9日付 日本経済新聞朝刊 健康経営広告特集より転載。記事・写真・イラスト等すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。

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