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ACTION!健康経営

2025.10.15

中小規模法人向け ACTION!セミナーレポート in 大阪

2025年9月2日に開催された「中小規模法人向け ACTION!セミナーin大阪」の様子をお届けします。人手不足が深刻化する中、経済産業省が政策推進する「健康経営」が注目されています。企業が従業員の健康に投資することが生産性の向上や離職の抑制につながるという考えに基づくもので、大阪府は全国トップクラスの健康経営優良法人認定数を有します。今回のセミナーも、企業関係者200人以上が参加する大規模な催しとなりました。

発表概要

 

健康経営の推進について:経済産業省
日本の社会課題・労働環境をとりまく実態と目指すべき姿、健康経営で期待できる変化について説明しました。

はじめよう!健康経営:健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)
2024年度認定の健康経営優良法人数は大阪府がトップであることや、申請にあたってのサポート窓口の案内がありました。

協会けんぽからの支援について:全国健康保険協会 大阪支部
健康経営優良法人認定制度の「最初の一歩」をサポートすること、協会けんぽが提供している具体的な支援の内容についての発表がありました。協会けんぽとして、将来の医療費上昇と、それに伴う過度な保険料の上昇を抑制するため、それらの支援を無料で提供していることなどについて説明しました。

□<実践企業事例紹介①>やってみよう!健康経営:住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社
健康経営に取り組んだきっかけや現在の取り組み、取り組みを継続するための工夫などについて、先行企業としての具体的なノウハウを紹介しました。

□<実践企業事例紹介②>ともに育む健康経営〜小さなことから一歩ずつ〜:I-QUON株式会社
健康経営を推進するための組織体制、最初は何から始めるべきか、社内データ活用の重要性などについて発表し、特にトップダウンの重要性を強調しました。

 

健康経営の推進について:経済産業省
午前の内容に加え、「多様性の尊重」や「メンタルヘルスの重要性」など、より具体的な課題とフォーカスすべきポイントについて紹介しました。

健康経営優良法人2026 認定・申請に関するご説明:健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)
午前の内容に加えて、健康経営優良法人としてどのように認定されるか、2026年認定申請に当たっての変更点など、具体的な手順について説明しました。

健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)申請書認定要件・改定ポイント解説 Q&A:健康経営優良法人認定事務局(日本総合研究所)
認定制度における変更点の具体的な説明、設問の具体的な変更点・定性記述記載における“落とし穴”の紹介など、より実践的な「今年度の申請書作成のポイント」を解説しました。

 

午前の部

□健康経営の推進について(経済産業省)

【午前の部】プログラム第1部では、経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課から、「我が国の社会課題と目指すべき姿」「労働環境をとりまく実態」「健康経営で期待できる変化」について講演しました。

経済産業省:
現在、日本は少子高齢化の進行から、生産年齢人口の減少と社会保障の負担増が深刻化する見込みです。このままでは経済の維持が困難になることから、健康な状態で長期間経済活動を担うための「健康寿命の延伸」が重要視されています。これに関連し、経済産業省はヘルスケア政策の中で、「国民の健康増進」「持続可能な社会保障制度構築への貢献」「経済成長」を目指しています。
健康経営によって従業員の健康管理に「投資」することで、現役世代が心身の健康を保ち、企業は人的資本の価値向上と組織の活性化、生産性向上ができること、それにより企業価値の向上が期待でき、さらには健康経営の取り組みが中小企業の人材確保につながるものと考えております。

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はじめよう!健康経営(健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社))

続いて、健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)が、申請を検討する企業に対し、健康経営に関する取り組みの現状とその効果について講演しました。

健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社):
健康経営優良法人の認定数は増加を続けており、2025(令和7)年4月の時点で中小規模法人部門は19,796件、大規模法人部門は3,400件が認定されています。その中で、中小規模法人部門での認定数は都道府県別で大阪府が最多となっており、地域全体で従業員等の健康を重視していることがうかがえます。企業が従業員の健康を積極的にサポートすることで、採用力の向上や離職の抑制、生産性の向上、企業の価値向上といった効果が期待できます。

また、大阪府や全国健康保険協会(協会けんぽ)大阪支部、大阪商工会議所が、地域の健康経営の取り組みをサポートしていますので、ぜひ一歩を踏み出してみていただければと思います。

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□協会けんぽからの支援について(全国健康保険協会 大阪支部)

【午前の部】プログラム第3部では、全国健康保険協会(協会けんぽ)大阪支部 藤本 陽平氏(以下、藤本氏)が「健康宣言事業」に関して講演を行いました。

藤本氏:
国民医療費の上昇とそれに伴う健康保険料の負担増が深刻化する中、協会けんぽは将来の保険料上昇を抑制するために加入者の健康増進を支援しています。企業に対してさまざまな支援を無料で提供し、健康経営優良法人認定制度の「最初の一歩」をサポートしています。

健康経営の一歩目として、企業が従業員の健康づくりへの取り組みを社内外に宣言する「健康宣言」があります。これはエントリーシートをFAXで提出するだけで「健康宣言の証」が交付されるもので、自社が健康経営に取り組んでいる証明となります。宣言の実践にあたって、健診費用の補助や特定保健指導の無料実施、健康課題の可視化、無料の健康増進ツールの提供、健康情報誌の配布、課題別の講師派遣といった支援を受けられます。

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□<実践企業事例紹介①>やってみよう!健康経営(住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社)

【午前の部】プログラム第4部では、1つ目の企業事例として、住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社(以下、SES)業務本部 総務人事部長 兼 ブランディング推進部長 前田 徹次氏(以下、前田氏)から、同社の取り組みが紹介されました。

前田氏:
SESは、家庭用殺虫剤や環境管理薬剤などを開発・製造・販売する住友化学グループの子会社です。従業員数は196名(2025年3月期時点)で、離職率は1%と極めて低い一方、平均年齢が47.5歳と比較的高いという特徴があります。

我々が健康経営の取り組みを始めたきっかけは、2018年に初代社長ががんを患ったことでした。初代社長は「従業員の健康を支援する改革は、経営者が先頭に立って進める必要がある。そしてそれを支える人事部門の、強い信念も重要である」と考えるようになります。

ここから、SESは「長期継続的で、本質的な健康経営」の推進を始めました。具体的には「心身ともに健康な個人と、コミュニケーションが活発な組織の実現を両輪とし、持続的に成長・発展する会社を目指すこと」を目的としています。専任の組織は持たず、総務人事部が兼務で担当し、社員参加型で、周囲を巻き込むような形で実践しています。

SESの健康経営は「健康診断制度拡充」「健康リテラシー向上」「働き方改革」の三本柱を中心に展開されています。
まず「健康診断制度拡充」では、50歳以上の社員を対象に人間ドックを無償化しました。また、女性従業員に対して、子宮がん検診や乳がん検診を含む婦人科健診を無償化しました。

「健康リテラシー向上」では、ウォーキングイベントや健康セミナーの開催、健康に関するブログやコラムの連載などを通して、社内コミュニケーションの活性化を図っています。特に、毎年11月に開催されるウォーキングイベント「SES歩活」の参加率は、8割超に上ります。「働き方改革」では、「しっかり働き、しっかり休む」の意識改革を目標に、時間外勤務の削減や有給休暇の取得率向上、在宅勤務制度の拡充を進めています。いずれも前向きな成果が出ており、特に有給休暇の取得率は、2022年に国の目標である70%を超過しました。

SESは、これらの健康経営への取り組みを「すべての人に健康と福祉を」「働きがいも経済成長も」など、SDGsの6つの目標に向けた貢献として位置づけています。

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□<実践企業事例紹介②>ともに育む健康経営〜小さなことから一歩ずつ〜(I-QUON株式会社)

【午前の部】プログラム第5部では、2つ目の企業事例として、産業医・労働衛生コンサルタントでもあるI-QUON株式会社 代表取締役 稲田 礼子氏(以下、稲田氏)から、同社の取り組みが紹介されました。

稲田氏:
弊社は産業医・労働衛生コンサルタントでもある私が代表取締役を務める、産業保健の専門職集団です。「病める人は元の生活へ、つらい人にはゆとりを、快適な人はより楽しく」をモットーに、健康を「病を防ぐことにとどまらず、人生の質(QOL)を高め、未来を拓く力」と定義しています。

我々の取り組みは、健康経営の実施によって期待される効果が本当に出るのかを確かめるために始まりました。産業保健事業を展開するにあたり、まずは自社が健康経営を実践することで、顧客企業からの信頼を獲得できると考えたためです。

取り組みにあたって、まず企業のトップである経営者が「健康経営を実施する」という意思を明確に表明すること(健康宣言)を最も大切にしています。トップの意思表明後は、現場の声を拾い上げ、具体的な施策を社員参加型で進めています。具体的には、以下のような手順でPDCAサイクルを回しました。

PLANの段階では、「現状把握と課題抽出」をしました。健康診断、ストレスチェック、社員アンケートを通して、運動不足と長時間のデスクワークに課題があることが分かりました。

DO・ACTIONの段階では、これらの課題に対し、社員が前向きに取り組めるようなコミュニケーション性・ゲーム性のある仕組みでアプローチしています。具体的には、協会けんぽが実施する無料セミナーの活用や社員が自発的に取り組む食生活改善情報の共有、年に2回のウォーキングイベント開催などです。また、婦人科検診の費用に補助を出し、婦人科疾患などの受診に対するハードルを下げています。

CHECKは年に2回、中間評価と最終評価で行い、取り組みの維持や修正を図っています。

I-QUONは、健康経営を「点の対策」ではなく「継続的な戦略」としています。既存の社内リソースを活用して持続可能な取り組みを続け、最終的には社員への健康投資を企業全体の成長へつなげることを目標としています。

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午後の部

■健康経営の推進について(経済産業省)

【午後の部】プログラム第1部では、経済産業省が午前の部の内容に加え、今後の方向性とより具体的な施策について解説しました。

経済産業省:
多くの中小企業にとって女性の労働力が不可欠である一方、女性特有の健康課題による社会全体の経済損失は年間3.4兆円に上り、女性の健康への支援が企業の成長の鍵となっていると考えております。さらに、2025年4月に公開したメンタルヘルス対策を推進するための 『心の健康実践ガイド』や、今年(2025年)秋公開予定の職域向け心の健康サービス選択支援ツール「ウェルココ」などをご活用いただければと思います。

就活生や転職者を対象としたアンケートでは、およそ6割が健康経営優良法人の認定を取得していることが「就職先の決め手になる」と回答しています。実際に、健康経営優良法人を取得した企業は離職率が低く、全国平均(12.1%)の半分(6.0%)に留まります。

企業が社員の健康に投資する効果は「無形の資本」として形成・蓄積され、最終的に企業価値や社会的価値を向上させることにつながります。

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■健康経営優良法人2026 認定・申請に関するご説明(健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社))

【午後の部】プログラム第2部は、健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)から、昨年度の申請・認定状況の振り返りと、今年度の申請書における設問の方向性について、概要説明を行いました。

健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社):
これまで、記載不備等により不認定となったケースが散見されたことから、事務局として各団体からの申請をサポートするために、申請書作成時の要点をまとめた『申請のポイント(申請手引書)』や、今年度の申請書の設問について詳細に説明した動画と資料を作成、公開しております。

また、今年度の申請スケジュールやフロー等についても、改めてご確認の上、ご申請をお願いします。

健康経営に取り組まれている組織が社会に認知され、また価値を受け取っていただくために、事務局としましても、今後より一層、健康経営についての広報活動や健康経営に取り組まれている組織の支援を行ってまいります。

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■健康経営優良法人2026(中小規模法人部門) 申請書認定要件・改定ポイント解説 Q&A(健康経営優良法人認定事務局(日本総合研究所))

【午後の部】プログラム第3部では、健康経営優良法人認定事務局(日本総合研究所)から、健康経営優良法人の認定機関として、昨年度からの変更点について具体的な説明がありました。

 

健康経営優良法人認定事務局(日本総合研究所):
2026年の主な変更点として、まず「地方公共団体向け特例」が設定され、教育委員会や公安委員会といった組織の申請が可能となった点が挙げられます。また、認定要件の必要適合項目数が「7項目以上」から「8項目以上」に増加しました。

特に「ブライト500」認定においては成果重視の評価に変更されています。また、新たな評価項目として「仕事と育児・介護の両立支援」と「性差・年代を踏まえた職場づくり」「心の健康保持・増進(社外相談窓口も対象)」が追加されています。

認定のためには、進捗状況の記載と目標指標の具体化が必要です。いずれも客観的に測定可能かつ健康経営と関連性のある指標設定が求められます。短期目標に「医療費削減」や「傷病手当金削減」を設定するのは、従業員の健康を推進する目的に合わないため、不適切とされます。

不認定となる典型例としては、「他社を模倣した記載」や「科学的根拠のない取り組み」「法令遵守の最低限レベルの目標だけを設定していること」「受動喫煙対策の不備」などがあります。また、単なる申請書類の記載ミスも不認定につながるため、注意が必要です。健康経営の質を高めるためにも、『健康経営ガイドブック(2025年3月改訂版)』の熟読を推奨します。

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