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ACTION!健康経営

2025.12.01

中小規模法人向け ACTION!セミナーレポート in 名古屋

2025年9月25日に開催された「中小規模法人向け ACTION!セミナー in名古屋」の様子をお届けします。生産人口の減少と高齢化による社会保障費の増加が深刻化する中、経済産業省が推進する「健康経営」が注目されています。企業が従業員の健康増進に積極的なコミットをすることで求人や融資におけるメリットがある例なども紹介され、健康経営に興味を持つ法人関係者が集まりました。

発表概要

 

健康経営の推進について:経済産業省
「人的資本への投資」という観点で健康経営を推進することで、投資家や金融機関、求職者からの評価が上がり、融資や人材採用における優位性を得られます。名古屋市が推進する健康経営支援プロジェクト(N健)についても説明しました。

はじめよう!健康経営:健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)
健康経営に取り組むことで企業の持続可能性を高められることや、健康経営のフレームワークにおける「経営理念との連携」および「法令順守」の重要性などについて説明しました。

協会けんぽからの支援について:全国健康保険協会 愛知支部
協会けんぽ愛知支部から「健康宣言」を行なった企業数が全国最多であること、愛知県の健康経営優良法人の認定社数は全国2位に上り、今後も増加傾向が見込まれることなどを説明しました。

□<実践企業事例紹介①>MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)と健康経営:盟和精工株式会社
健康経営に取り組んだきっかけと、自社ならではの健康課題へのアプローチを紹介。企業トップが率先して動くことと、従業員を巻き込む「小さな成功体験の繰り返し」の重要性を強調しました。

□<実践企業事例紹介②>健康経営が人(組織)を育てる:三幸土木株式会社
11年にわたる継続的な健康経営への取り組み内容と、その成果を発表しました。事業拡大と増員の成功、特に継続的な新卒採用が実現できていることを強調しました。

 

健康経営の推進について:経済産業省
午前の内容に加え、労働市場においては求職者のニーズが「職場の人間関係」や「やりがい」を求める傾向があること、サプライチェーンを通じた健康経営の普及について、重点的な案内がありました。

健康経営優良法人2026 認定・申請に関するご説明:健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)
午前の内容に加えて、事務局の機能、健康経営ガイドブックを紹介。健康経営認定企業であることの波及事例について強調しました。

健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)申請書認定要件・改定ポイント解説 Q&A:健康経営優良法人認定事務局(日本総合研究所)
認定制度における変更点や設問に回答するうえでの注意点、定性記述記載における“落とし穴”の紹介など、実践的な「今年度の申請書作成のポイント」を解説しました。

 

午前の部

□健康経営の推進について(経済産業省)

【午前の部】プログラム第1部では、経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課から、健康経営のねらいと効果について講演しました。

 

経済産業省:
生産年齢人口の減少と、高齢者・要介護者の増加によって社会保障費が増大するという社会課題に対し、経済産業省は「健康経営」を推進しています。健康経営は、企業が従業員の健康増進を経営的投資の機会と捉え、積極的に介入することで、企業の価値や生産性を向上させるという取り組みです。

健康経営は、離職や休職のリスクを減らし、企業の事業継続性を伸ばすものとして、投資家や金融機関が融資を判断する際の評価指標になります。また、新卒採用においての優位性も期待できます。大学へのヒアリングによって、学生本人や保護者が、就職先に「心身ともに健康に働ける環境」を望む傾向が明らかになっています。

つまり健康経営は「企業の価値を高め、融資や人材確保を有利にするもの」です。現状は大企業での取り組みが進みつつありますが、中小企業への浸透は課題となっています。愛知県名古屋市は「なごや健康経営支援プロジェクト『N健』」を通して、中小企業の認定取得を支援しています。

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はじめよう!健康経営(健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社))

【午前の部】プログラム第2部では、健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)が、健康経営の価値と取り組みにおいて重視すべき観点などについて説明しました。

健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社):
健康経営に取り組む価値は「企業の持続可能性を高める」ことにあります。健康経営の認定取得は、従業員を大切にする企業であることの証と見なされ、採用活動にも活用されています。

健康経営のフレームワークにおいて、全て重要な要素ではありますが特に重要な要素は「経営理念・方針」です。従業員の健康に関する課題は企業によって異なり、自社の経営理念と健康に取り組む方針が一致している必要があります。例えば女性が多い職場では女性特有の課題、高齢化が進む職場では高齢者向けの課題に取り組むべきであり、経営者のコミットメントも重視されます。

 

 

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□協会けんぽからの支援について(全国健康保険協会 愛知支部)

【午前の部】プログラム第3部では、全国健康保険協会(協会けんぽ)愛知支部 福池 洋彦氏(以下、福池氏)が、健康づくりに取り組む企業の愛知県における健康経営の取り組み状況や今後の見通し、協会けんぽとしての支援策などについて講演しました。

福池氏:
健康経営は、企業が従業員の健康課題に沿った目標を立て、取り組みを内外に発信する「健康宣言」から始まります。愛知県は、協会けんぽ愛知支部の2025年における健康宣言事業所数が11,594件に上ります。全国で最も多く、企業の関心の高さがうかがえます。

協会けんぽ愛知支部は、この取り組みを推進するため、積極的な支援策を展開しています。

まず、がんの早期発見を重視し、35歳以上を対象に、がん検診を含む「生活習慣病予防健診」を補助付きで推奨しています。さらに、健診でリスクが高いと判定された方に対して、「特定保健指導(健康サポート)」を提供しています。これは、費用の全額を協会けんぽが補助して、保健師などがオーダーメイドで対象の方をサポートするものです。健診当日に利用できる体制も整え、利用を促進しています。

このほか、具体的な取り組みの参考となる「好事例集」の発行や、LINE、メールマガジンで健康情報を毎月配信するといった、情報発信もしています。

こうした取り組みの結果、愛知県の優良法人認定数(中小規模)は、2025年度時点で2,141社に上ります。これは全国で2番目に多く、今後も認定数は増加傾向が続く見込みです。

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□<実践企業事例紹介①>MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)と健康経営(盟和精工株式会社)

【午前の部】プログラム第4部では、1つ目の企業事例として盟和精工株式会社の代表取締役社長 佐藤 豊大氏(以下、佐藤氏)が、自社の取り組みを紹介しました。

佐藤氏:
盟和精工株式会社は、主に自動車部品を中心に多様なものづくりを行う企業です。試作部門と量産工場を持ち、様々な加工方法による一貫生産体制を強みとしています。あと数年で創立100周年を迎えることもあり、会社のあり方を示す指針MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を従業員と共に再構築しました。ミッションは 『人の「わ」を紡ぎ、人の心を動かす仕事をしよう』、ビジョンは『誰もが笑顔で生き生きと行き交うアートな場を実現する』と定めています。

MVVを浸透させるには、従業員どうしの活発なコミュニケーションが不可欠です。しかし、「活発なコミュニケーション」は簡単にできるものではありません。価値観の多様化や世代間のギャップ、業務上の利害関係、立場の違いなどから、ハラスメントになることもあるためです。

そこで、誰もが受け入れやすく、話しやすいテーマである「健康」をテーマとしてコミュニケーションを活性化させ、それをMVVの実現につなげようと考えました。これが健康経営に取り組む直接的なきっかけです。

健康経営を始めた2021年当初、「安全と健康は全てに優先する」という社是を掲げ、健康診断とラジオ体操は実施していたものの、実態として、従業員の健康への意識は高くありませんでした。そこで、健康経営への取り組みは、「唐突感なく、少しずつ押し出し、小さく始める」ことを重視しました。

まず、私が従業員と対話する機会を作りました。お茶菓子を用意し、世間話や事業の話、健康、MVV、趣味などについて数人の従業員と語り合い、関係性の構築を目指しました。

また、取り組みへの抵抗感を減らすため、従業員に「楽しい」と感じてもらうような施策を取り組みました。スポーツ大会や創業記念イベントでのキッチンカー導入、他社と連携した運動セミナーなどを実施し、健康経営に対する成功体験を積み上げました。

さらに、健康課題への直接的なアプローチとして、健康診断とその後の保健指導、2次検査、受診の勧奨などを、1年間のサイクルに組み込んで仕組み化しました。「血圧測定キャンペーン」を実施して、従業員が楽しみながら自身の血圧を意識する機会を作るなど施策を実行しています。

これらの取り組みを継続した結果、組織風土の改善ができました。「健康」という共通の話題ができたことで、従業員同士の対話が増加し、現場や会社全体の雰囲気が明るくなったと感じています。MVVの具現化施策として工場の一般開放イベントを実施したところ、来場された地域の方から「会社の人の対応が良かった」と評価いただき、対応した従業員のモチベーション向上にもつながりました。

健康経営を通じた「対話の場」の創出が、組織の良いサイクルを回すことにつながっていると感じています。

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□<実践企業事例紹介②>健康経営が人(組織)を育てる(三幸土木株式会社)

【午前の部】プログラム第5部では、2つ目の企業事例として三幸土木株式会社の代表取締役社長 木下 力哉氏(以下、木下氏)が、11年にわたる健康経営の取り組みとその成果について講演しました。

木下氏:
三幸土木株式会社は、創業60年の土木を中心とした建設会社です。健康経営の取り組みを開始した2014年の売上は16億1000万円でしたが、現在は分社した事業を含め、約35億6000万円となりました。中小企業ながら着実な成長を遂げています。

弊社が健康経営に取り組み始めたきっかけは、11年前に開催した管理栄養士による健康管理の講演です。その中で、アメリカでは従業員の健康への投資が業績向上につながっていることや、日本でも大企業における健康経営の取り組みが始まっているといった話を聞きました。

当時弊社は、従業員の食生活の偏りや喫煙率の高さ、メタボリックシンドロームなどが課題になっていました。そこで講演をきっかけに、健康経営への取り組みを始めました。

取り組みの内容は、「できることから継続する」をモットーに進めています。まず、毎月1回、役員、社員、外部顧問である管理栄養士が参加する健康運営会議を開催しています。また、社内報やInstagramを活用して、弊社の取り組みを社内外に積極的に発信しています。

トップダウン指示の取り組みが浸透するにしたがって、従業員から提案が寄せられるようになりました。徐々に運営をボトムアップに移行し、最近では「三幸くるるの日(ウォーキング&BBQ会)」や「社長のおごりdeサウナ」といった企画が実施されています。
そのほかにも、元シェフである弊社の専務による調理実習、健康診断と併催の「健康測定会」や睡眠強化イベント「夢眠月間」といった取り組みを行っています。禁煙チャレンジはスタート当初、10万円の報奨金を付けて推進しました。また、コロナ禍に開催したウォーキングイベント「SANKOウォーク・フェス」をきっかけに、自治体の歩数計アプリの活用も広がりました。

これらの取り組みを11年間継続した結果、売上は2.2倍、経常利益は4倍以上に増加しました。喫煙率は大幅に低下、コミュニケーションが活性化し、互いに助け合う「和」の風土が醸成されています。「会社の雰囲気が良い」と評価され、安定的な新卒採用も継続できています。

有給休暇100%取得を目指す過程で、中間管理職の意識改革が進みました。会社全体で若手を育成する文化が生まれ、資格取得の推奨や事務職員による食事のサポートなどが続いています。健康経営は、「相互扶助」の精神とリスペクトできる風土を作る不可欠な経営手法だと考えています。

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午後の部

■健康経営の推進について(経済産業省)

【午後の部】プログラム第1部では、経済産業省が午前の内容に加え、特に求人やサプライチェーンにおける健康経営の位置付けについて強調しました。

経済産業省:
就職活動中の方や転職を検討中の方から、健康経営が注目されています。
大学で実施したアンケートによれば、就職活動中の学生や転職先を探すキャリア人材の約6割が「健康経営」を就職先の決め手として挙げています。近年はこれに加え、「職場の人間関係が良好であること」や「仕事のやりがい」を重視する傾向も強まっています。在職者の動向を見ても、健康経営に取り組む企業はそうでない企業に比べ、離職率が有意に低いという結果が出ています。

健康経営の効果は自社内にとどまりません。経済産業省は「パートナーシップ構築宣言」などを通じて、サプライチェーン全体での健康経営の普及にも取り組んでいます。今後は質の向上と自治体による支援の強化、さらに「中小企業を支援する自治体組織」の健康経営もサポートし、自治体の認定取得も推進していく予定です。

 

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■健康経営優良法人2026 認定・申請に関するご説明(健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社))

【午後の部】プログラム第2部では、健康経営優良法人認定事務局が登壇。午前の内容に加えて、健康経営ガイドブックを紹介し、健康経営優良法人として認定を受けるメリットを強調しました。

健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社):
今年度は申請書が改定されています。改定内容は、公式サイトに掲載している「健康経営ガイドブック」に基づいています。このガイドブックは、健康経営を事業の効果につなげるための実践的な考え方を提示しているので、ぜひご確認ください。

企業は認定を取得することで、名刺やWebサイトにロゴマークを掲示できます。「従業員の健康に取り組む優良企業である」という信頼感から、商談を深めやすいという声も聞いています。採用市場においても「社風の良さ」をアピールでき、内定者の親御さんが就職先を確認する「親確(オヤカク)」の際にも、安心材料として活用されています。

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■健康経営優良法人2026(中小規模法人部門) 申請書認定要件・改定ポイント解説 Q&A(健康経営優良法人認定事務局(日本総合研究所))

【午後の部】最後のセッションとなるプログラム第3部では、健康経営優良法人認定事務局(日本総合研究所)が登壇。認定制度における変更点や設問に回答するうえでの注意点、「定性記述記載」における“落とし穴”の紹介など、実践的な「今年度の申請書作成のポイント」を解説しました。

 

健康経営優良法人認定事務局(日本総合研究所):
今年度の中小企業部門の健康経営優良法人申請では、認定要件や設問にいくつかの変更が加えられました。

まず、評価項目が昨年度の15項目から17項目に増加しました。「仕事と育児または介護の両立支援」と「高年齢従業員の健康や体力の状況に応じた取り組み」の2点が主な追加項目になります。これに伴い、認定に必要な適合項目数が、従来の7項目以上から「8項目以上」へと変更されました。

また、大項目「制度・施策実行」内においては、中項目「土台作り」の評価項目が4から7に増え、認定要件は「1項目以上」から「2項目以上」に変更されました。中項目「具体的対策」では評価項目が8から7に減少したものの、認定要件は「4項目以上」が維持され、実質的に基準が厳しくなりました。

健康経営優良企業の中でも特に優れた取り組みをする上位500社である「ブライト500」を認定する設問においては、「健康経営の組織への浸透」「定性的な効果や風土の変化の把握」が追加されました。また「経営者の関与」や「情報発信」では、具体的な健康経営の推進方針の記載が求められるようになりました。

以上の変更点を踏まえ、特にQ10「健康経営の具体的な推進計画」の主体的な記述と、新設・変更された設問への確実な対応が、今年度の認定取得の鍵となります。

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