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2024.09.30

健康経営®で企業の魅力づくり|ACTION!セミナーレポート in 山形

2024年8月29日(木)に山形市内で「健康経営で企業の魅力づくりACTION!セミナーin山形」が開かれました。山形県では、上山市役所が2022年に東北の自治体で初めて「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に選ばれ、3年連続で認定を受けるなど官民問わず地域の特性を活かした取り組みを推し進めています。今後の健康経営の推進に向けてヒントを得ようと、大規模・中小企業問わずさまざまな方が参加し、登壇者の話に熱心に耳を傾けていました。

登壇者と各発表の概要

・経済産業省
”なぜ健康経営が必要なのか”について社会的背景や国の政策等を含めて解説。山形県の認定数は2024年に314社と前年比で増加しているものの、より取り組みが広がってほしいと訴えました。

・協会けんぽ山形支部
山形県が直面する人口減少のデータを踏まえて、企業が取り組むべき健康経営について解説。「やまがた健康企業宣言」を行うことで受けられるサポートや各種インセンティブ制度について紹介がありました。

・山形県
県下の課題についてデータ等を示した上で、県が展開する「第2次健康やまがた安心プラン」について説明。健康経営に関する顕彰制度や補助金制度について紹介がありました。

・<実践企業事例①>株式会社丸の内運送
2023年・2024年と2年連続で「ブライト500」の認定を受けている同社。創業以来、社員の健康を重視した取り組みを続けていることに加えて、「やまがた健康企業宣言」をきっかけに取り組みを深化させたことについてお話いただきました。

・<実践企業事例②>日本刃物株式会社
2018年から健康経営優良法人の認定を受け、4年連続で「ブライト500」に選ばれている同社。健康を害したことによる長期休職や退職が発生するという課題について、どのようにアプローチしていったのかについてお話いただきました。

・健康経営優良法人認定事務局
ポータルサイトの活用方法や申請時に押さえておくべきポイントなどについて説明。山形県には認定後に活用できるインセンティブが豊富に揃っていることも伝えました。

これからの健康経営(経済産業省)

 

プログラム第1部は、経済産業省が演題「これからの健康経営」について講演しました。日本国民が直面している課題やヘルスケアに関する施策と展望といった国の政策から見た健康経営の位置付けについて説明。その中で、健康経営を社長のみならず経営層、産業医などの専門職が一体となり進めることの重要性などにも触れました。山形県における認定数(中小規模法人部門)は2023年の277社から2024年に314社と増加傾向にはあるものの、今後より増加していくことを期待していると述べました。

 

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「健康経営」の推進~やまがた健康企業宣言について~(全国健康保険協会山形支部)

 

プログラム第2部は、協会けんぽ山形支部 安達久仁子氏(以下、安達氏)が演題「『健康経営』の推進~やまがた健康企業宣言について~」について講演しました。

 

安達氏 山形県が直面する課題として、労働人口の減少が挙げられます。2020年の総人口と比較して、2050年には約36万人も減ってしまうという目を背けたくなるような予測です。

元気に長く働き続けてもらうために健康経営に取り組む必要があります。その”はじめの一歩”を応援するために2016年度から「やまがた健康企業宣言」を始めています。企業の方々には「健康診断の実施・特定保健指導の実施・検査と治療の促し・健康づくりの推進」の4つに取り組むことを約束した上で、宣言していただいているところです。2022年にリニューアルし「健診受診率70%以上」といった要件を設けましたので、すでに宣言された企業は切り替えが必要です。

 

 

健康経営に大切なことは「まず、自社の健康課題を把握すること」に尽きると考えています。そこで山形支部では宣言した企業に健診、特定保健指導の実施率や従業員の生活習慣などを数値・グラフで見える化した「事業所カルテ」を配布しています。このほか、健康経営優良法人への申請が可能となるのはもちろんのこと、ロゴマークの使用や健康づくりセミナーへの無料参加といった各種サポートが受けられます。

山形支部は、特定健診等受診率が全支部の中で第1位となるなど優秀であり、健康保険料率の引き下げにも良い影響を与えています。健康経営の取り組みを前進させられるように今後もサポートしていきますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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山形県における健康経営推進の取組み(山形県)

 

プログラム第3部は、山形県健康福祉部がん対策・健康長寿日本一推進課 伊藤雅良(以下、伊藤氏)が演題「山形県における健康経営推進の取組み」について講演しました。

 

伊藤氏 山形県の健康寿命は、全国比較で男性24位・女性23位(2019年)と中程に位置しており、平均寿命との差はそれぞれ男性8.74年・女性11.71年となっています。またがんによる死亡率や肥満率は増加傾向にあります。ただ、特定健診受診率は全国1位を誇っており、県民の健康に対する意識が非常に高いのも特長です。

県は「健康寿命日本一の実現」を理念とした「第2次健康やまがた安心プラン」を展開しています。栄養・食生活や身体活動・運動といった「生活習慣の改善」、糖尿病などの「生活習慣病の予防と重症化予防」に加えて、「社会環境の整備」の面において誰もがアクセスできる健康増進のための基盤の整備、すなわち健康経営の推進を行っています。具体的な取り組みとして、2015年度から行う「やまがた健康づくり大賞<健康経営部門>」やウォーキング推進事業や健康管理機器等購入事業といった取り組みへの補助金制度があります。実際に、補助金は歩き方教室を開催したり、ウェアラブルデバイスを購入してウォーキング推進月間を設けたりするなどに活用されています。このほか、成人歯科保健対策推進事業、県職員による出前講座などを実施しています。

ぜひ企業の皆さまのお力を借りながら、健康寿命日本一を達成したいと考えています。今後もご協力の程よろしくお願いします。

 

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<実践企業事例①>健康経営で企業の魅力づくり(株式会社丸の内運送)

 

実践企業事例1つ目は、株式会社丸の内運送 小林茂美代表取締役社長(以下、小林氏)に演題「社員の健康は財産 『働く』を明るく、『組織』を強く」についてご講演いただきました。

 

小林氏 我が社は創業から36年の会社で、輸送・配送といった運送事業を主軸に、商品の仕分けや陳列といった荷役作業を行っています。配送オペレーションは本社営業所だけでトラック49台、そのほか3つの営業所と合わせて計120名で対応しており、荷役オペレーションは計52名で業務を担っています。社是に「安心・安全」を掲げていますが、これは社内に向けて「社員が安心して暮らせる会社、同時に安全を担保できる職場」を目指すことを意味しています。

業界が抱える課題として、2024年問題も相まってドライバーの長時間の是正が必要ですし、24時間365日運行している以上、急病によって業務が滞るといった事態も避けなければなりません。加えて、社員間のコミュニケーション不足や病院に行く時間が確保できずに仕事と治療の両立が難しいといった問題も抱えていました。

我が社では、創業以来から社員の健康を重視した取り組みを行っていましたが、2018年に「やまがた健康企業宣言」を宣言したのをきっかけに明文化し、専任の担当者を任命しました。主な施策としては、健診受診率は100パーセントでしたので、さらに健康診断の再検査受診率100パーセントを目指し、2022年から達成し続けているところです。また、全社員に目標を立てて取り組んでもらうための「健康宣言カード」や、ドライバーを対象に睡眠時無呼吸症候群へのスクリーニング検査に加えて精密検査までを会社の費用負担で進めるといったことも実施しました。

さらに、2022年には会社の費用負担で全社員対象に脳のMRI健診も行いました。これは負担の大きいものではありましたが、結果として「会社はここまで本気で取り組んでいる」というのを社員が感じ、さらなる意識醸成につながったと感じています。そのほか、健康度アップにつながる講演を開催し情報共有したり、スキーやゴルフといったサークル活動を奨励し費用を一部補助したりすることで、コミュニケーションが活発になりました。

これらの取り組みの結果、2023年・2024年と2年連続で「ブライト500」の認定に至りました。地元メディアで紹介する機会が増えて会社PRにつながったり、社員定着率や有給取得率、さらに労働生産性が向上したりするような効果も表れています。

 

 

「認定までに苦労したことは?」という問いについて、一切ありませんと答えています。我々の事業の進め方、会社の抱える課題を明確にして改善していく姿勢が健康経営、そしてブライト500の取得につながったのだと考えています。

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<実践企業事例②>健康経営が果たす役割と効果(日本刃物株式会社)

 

実践企業事例2つ目は、日本刃物株式会社 上野弘一氏(以下、上野氏)に演題「健康経営が果たす役割と効果」についてご講演いただきました。

 

上野氏 我が社は米沢市に拠点を構えて、金属製品を製造する地域密着型の企業です。国内では数少ない刃物メーカーで、創業から92年を迎えます。

特殊な業界ゆえに「人の手」による技能が欠かせません。長い時間をかけて技能を身につけて、それを継承していく体制が必要となるのですが、60歳から65歳へと定年制の見直しや70歳までの継続雇用制度を導入しただけでは長期休職や退職を減らすことが困難となっていました。そのため、根本的な課題解決と社員の健康を守れるように健康経営への取り組みをスタートしました。

はじめに、「やまがた健康企業宣言」を行いました。健康診断の受診率は30年以上100パーセントですし、特定保健指導の実施率も2011年から100パーセントを持続しています。そして要治療・要精密検査判定者が医療機関を受診するために地道に呼びかけを行い、今年(2024年)100パーセントを達成することができました。福利厚生の一環として、会社が加入する保険で治療費の一部補助を行ったり、社員の家族の健康相談窓口も設置したりすることで経済的な負担の軽減にもつなげています。

健康推進の施策としては、「さつきラン&ウォーク」というオンライン上で行う企業対抗のイベントへの参加や禁煙週間と禁煙デーを設定するなどの禁煙を促す活動、適塩教室や食生活改善セミナーへの出席、給茶機の設置などを実施しています。ちなみに禁煙を達成した社員には、社内でインセンティブを設けており、社員の前向きな姿勢につながる仕組みづくりも工夫しています。またどれだけ施策で効果が出ているのか認識できる「健康習慣アンケート」によって、経年変化や持続的な改善につなげたり、産業医と連携して健康相談や個人への指導、ワクチン接種を行ったりしています。またこのような取り組みについて社外に情報発信するように心がけています。

2017年の「やまがた健康企業宣言」の宣言後、2018年から毎年健康経営優良法人の認定を受けており、2021年から4年連続で「ブライト500」に選ばれました。効果として病気による欠勤・パフォーマンス低下が減少したことで生産性向上や人材育成の機会が増えたこと、健康診断の有所見者数が減少したこと、入院等による長期休業者が0件となったこと、健康経営の取り組みを知って応募する求職者が増えたことなどが挙げられます。

 

 

社員一人ひとりが健康を自覚し、維持・増進に努めていくことが企業の価値を高める原動力になります。そして生まれた付加価値をもう一度社員に還元していくことが充実した人生を送ることにつながる。それこそが健康経営の果たす役割と効果だと考えています。

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健康経営優良法人認定制度について(健康経営優良法人認定事務局)

セミナーの終盤、健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)からポータルサイト「ACTION!健康経営」の活用してほしいところや今年度の申請における注意点ならびに改訂ポイントなどについて説明。山形県は入札関係や融資優遇などのインセンティブが豊富に用意されていること、また「ブライト500」に加えて「ネクストブライト1000」を設けるため、ぜひ上を目指してほしいことなどをアピールしました。認定を受けることは健康経営を進める上でのバロメーターとしての役割があり、それぞれの企業の取り組みが地域全体の活性化につながると強調して締めくくりました。

 

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