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【2024.3.8紙面掲載】女性の活躍へ 心身の課題理解を

2024.03.08

ACTION!健康経営「国際女性デー」企画

働く女性が増える一方で、女性特有の健康課題により職場で困ったり、

キャリアを諦めたりする女性もいる。企業は女性の健康課題にどう向き合うべきか。

ジェンダー格差(男女間の格差)に詳しい小木曽麻里さんに課題と展望を聞いた。

株式会社SDGインパクトジャパン 代表取締役小木曽麻里 氏

<略歴>インパクト投資、社会起業家支援、インクルーシブビジネスの促進、SDGファイナンスに幅広く携わる。2017年に国内初のジェンダー投資ファンドを設立。国際協力機構海外投融資委員会有識者委員などを務め、21年から現職。


適切な判断 データから

女性の活躍推進が叫ばれ、多くの企業が女性の管理職増加や主体的・自律的なキャリア形成の実現を目指すようになりました。女性の就業率は2000年代前半から一貫して上昇を続け、15~64歳では70%を超えています。これは国際的にも高い水準です。

その一方で、仕事に加えて家事や育児、介護を抱え、心身に大きな負担がかかっている働く女性は少なくありません。男性に比べて女性は健康診断の受診率が低く、睡眠時間も短いという調査結果もあります。社会に根強く残る「女性は家族を優先し、自分のことは後回しでもやむを得ない」といった前時代的な意識は改めなければなりません。

働く環境にも課題があります。例えば女性特有の健康課題に対する企業の理解が乏しいことです。月経前症候群(PMS)や更年期障害、メンタルヘルス、不妊・妊活など様々な健康課題のために職場で困ったり、キャリアを諦めたりする女性は少なくありません。今後、正社員として勤める女性や高年齢まで働く女性が増えると考えられるため、社会としても企業としても女性の健康課題とどう向き合うかは喫緊の課題です。

経済産業省の資料によれば、女性特有の健康課題による社会全体の経済損失は年間約3・4兆円に上ります。同省は多くの企業が女性側のニーズを把握しきれず、何をすればいいか分からない状態にあると指摘。個々人の状況を精緻に把握すること、健康課題を抱える従業員により直接的な支援をすること、その効果や意義を経営としてモニタリングすることを求めています。

現状は、女性の健康課題を理解するためのデータが不足していると思います。うつだと思ったら更年期障害だったなど、女性もリテラシー不足で自身の健康について正確な理解を欠いている場合があります。人により症状が異なるため女性同士でも理解しにくい、低用量ピルなど対処法があっても利用が進んでいないといった状況もあります。

健康に対するリテラシーを高めるため、テクノロジーで女性の健康課題の解決を図る「フェムテック」やPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)を活用するのも一案です。例えばホルモンの状態を計測して管理できるアプリなどが実用化されています。

データの蓄積が進めば、健康課題をよりクリアに可視化できるようになります。今後は個人がデータというエビデンス(根拠)に基づいて自身の健康を管理し、最適な状態を保ちながら主体的・自律的にキャリアを形成していくようになるでしょう。そのためのツールを用意するなど、企業の支援が大きな効果を生みやすい領域だと思います。

※経済産業省「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」(令和6年2月)より抜粋

能力伸ばす 環境へ

健康はパーソナルな問題であり、個人で対処すべきだという考え方があります。しかし、健康課題について職場の理解があるかどうかは、女性の働きやすさやモチベーションを大きく左右します。タブー視せず、健康状態について当たり前のように語れる組織風土をつくることが大切です。上司と部下が定期的に1対1で対話する「1on1(ワンオンワン)」においても、家庭のことや健康のことを自然に話せるようになるとよいと思います。

相談窓口の設置も大切です。業務の分担や人員配置の見直しなどに加えて、産業医などのサポートを望む女性管理職は少なくありません。専門家との勉強会を開くのも効果的です。

女性の健康に配慮した健康経営でエンゲージメントが高まり、業績も向上するというデータが蓄積・開示されるようになれば、それを評価する流れが生まれるでしょう。今後5~10年の間に大きく進展すると思います。乗り遅れないことが大切です。

人的資本経営の重要性が指摘されるようになり、企業と個人の関係は対等なものになりつつあります。人的資本経営では「誰もがそれぞれの能力を最大限に発揮できる環境づくり」が基本です。従業員の健康管理はその土台となるものです。

女性だけでなく男性特有の健康課題もあります。男女問わず各々の能力を伸ばすためにどうすればいいかを考えることが肝心です。健康経営を通じて個人と企業、女性と男性がそれぞれの健康への理解を共有し、最適な形で分業していくのが、これからの企業の望ましい在り方だと思います。

 

 


2024年2月26日付 日本経済新聞朝刊 健康経営広告特集より転載。記事・写真・イラスト等すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。

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